司法書士試験は、令和6年度から記述式の配点が倍に変更されました。今回は、この配点変更が与える影響について、令和7年度以降の択一逃切り点及び目標得点を中心に記載したいと思います。
(「逃切り点」については、記事「働きながら司法書士試験合格」https://sihousyosihirukawa.com/64/をご覧いただければと思います。)
なお、以下は、あくまで個人的な予想・意見であることをご了承願います。
配点変更の前と後
令和5年以前と令和6年以降の配点の変化を見てみます。
択一は午前・午後とも各35問(1問3点)、記述式は2問です。
令和5年以前
択一式 210点満点(75%)
記述式 70点満点(25%)
令和6年以降
択一式 210点満点(60%)
記述式 140点満点(40%)
記述式の満点に占める割合が25%から40%に増えました。
記述式の配点変更の目的
記述式の配点変更の目的について考えてみたいと思います。
記述式の配点が変更された目的・理由については、いくつか考えられています。
第1の理由は、記述式の採点基準を変えるためということです。
記述式の採点については、法務省が採点基準を公表していないためブラックボックスとなっていますが、減点方式であることは間違いないと言われています。そして、この減点方式で採点すると、途中まで書けた受験生と白紙の受験生の点数が同じになることがあります。今回の配点変更は、そういった弊害を減らすため、採点方式を加点方式に変えるためとか、減点方式を続けるとしても、減点幅を細かく設定して採点の幅を広げるためとも言われてきました。
しかし、今回、法務省から発表された情報によると、記述式の点数は、0.5点刻みから1点刻みへと単純に倍に変更されていますので、採点基準を変えるためではないのかもしれません。
第2の理由は、記述式の配点を高めることで、記述式の能力を点数に反映させようとしているということです。
この点については、合格者の多くが、記述式ではなく択一で点数を稼いでいる実情があります。法務省では、何らかの理由で記述式を重視する意図があり、記述式の配点を増やすことで記述式の能力を評価しようとしているのかもしれません。
令和5年以前と令和6年の基準点などの比較
今後の択一逃切り点を考察するにあたり、令和5年以前と令和6年の基準点などの比較したいと思います。
令和5年以前(過去5年の平均)
基準点
・午前択一 26.0問(最高27問(R3,4)、最低25問(H31,R2))
・午後択一 23.6問(最高25問(R4,5)、最低22問(H31,R3))
・記述式 65.6点(最高70点(R4)、最低61点(R5))※
上乗せ点 26.1点(最高27.5点(R3,R5)、最低23.5点(H31))
択一逃切り点 択一基準点合計+9.2問(最高10問(R3,R5)、最低8問(H31))
※記述式の基準点は、例年平均点の少し上に設定されています。
70点満点を140点満点に修正しています。
令和6年
基準点
・午前択一 26問
・午後択一 24問
・記述式 83点
上乗せ点 34点
択一逃切り点 択一基準点合計+12問
令和6年は、記述式の基準点が例年に比べ高くなっています。
この結果をみると、配点変更により、上乗せ点が例年より8点ほど上がり、択一逃切り点は3問分ほど上がっていることが分かります。
つまり、例年でしたら、
午前30~31問
午後28問
程度取れていれば、逃切り点が取れていましたが、
令和6年の場合は、逃切り点を取るためには
午前32問
午後30問
が必要となりました(午前択一、午後択一に上乗せ点をそれぞれ6問ずつ割り振った場合)。
令和7年以降の択一逃切り点についての分析・予想
上記をふまえて、今後の択一逃切り点は令和6年と同様、令和5年以前と比べて3問分程度増えて、
択一基準点合計+12問程度
になると予想します。
理由としては、配点が増えた分だけ、上乗せ点も増えたと推測されるからです。
つまり、配点変更により、満点は280点から350点と1.25倍になりましたが、それに対して、上乗せ点は過去5年の平均26.1点から令和6年の34点と1.30倍となりました。この数字から、配点の増加比率と上乗せ点の増加比率には強い相関関係があると考えます(1年分しか例がないのが弱いところですが)。
記述ドリーム
配点変更による影響についてもう1点記載したいと思います。
令和5年までは、記述だけで上乗せ点を稼ぐのは不可能に近かったのですが、今後は、不可能とまでは言えなくなると思います。
過去5年の平均で見ると、択一が基準点ジャストで、記述式で全て上乗せ点を取るためには、記述式被採点者の
上位10人以内
に入る必要がありました(R5は上位4人 、R4は上位5人、R3は上位6人、R2は上位9人、H31は上位25人(平均9.8人))。
要するに、記述だけで上乗せ点を取るのは、ほぼ不可能でした。
ところが、令和6年では、同じ条件で記述式で上乗せ点を取るためには、
上位82人以内(上位3.35%)
に入ればよいことになりました。簡単ではありませんが、不可能とまでは言えないと思います。
この変更により、択一が苦手な方や、苦手ではないものの本番で失敗してしまった方にとっては、記述での一発逆転の可能性が出てきましたので、これは大変夢があることだと思います。
まとめ
択一逃切り作戦は、記述式の配点変更後も不可能ではないと考えます。
現時点では、今後の択一逃切り点は+12問分程度と考えますので、午前32~33問、午後30問程度になるのではないでしょうか。
ただ、かなりの高得点であることは間違いありませんので、個々のご事情や、費用対効果なども考慮した上で、記述とのバランスも考え目標得点を定めるのがよいと思います。
特に個々のご事情を考慮しなければ、最も効率的よく得点するには、択一では最低午前30~31問、午後28問くらいを目指して、記述では基準点(又は平均点)+12点(択一4問分に相当する点数)くらいを目指すのがよいと思います。


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