目標得点について
司法書士試験の合格を見据えて目標得点を設定することは重要です。択一式、記述式の全体を考慮して目標得点を設定することが大事ですが、今回は、択一式の目標得点について記載したいと思います。
択一式試験とは
司法書士試験の筆記試験は、午前択一式35問、午後択一式35問、記述式2問で成り立っています。そのうち、択一式試験とは、5つの選択肢の中から1つの正解を選ぶ形式の問題です。
択一式の基準点について
基準点とは、いわゆる足切点です。まずは、この点数を超えることが最初の目標になります。
年によって変動はありますが、例年
1.午前択一は35問中27問前後
2.午後択一は35問中24問前後
となることが多いです。
択一式の目標得点を設定することの重要性
具体的な目標得点を定めると、その点数さえ超えれば合格できるとイメージができます。ですので、合格への意識が高まります。
私は択一式で基準点付近の点数しか取れなかった受験6回目までの頃は、択一の点数については、ぼんやり20問台後半の点数が取れて、記述についても相性がよい問題が出て高得点が取れればいいな~程度にしか考えていませんでした。結果、択一は20問台前半から半ば程度の点数しか取れませんでした(問題が非常に優しかった平成27年の午前択一は30問取れましたが)。
目標得点を設定しないと、具体的な目標が定まらず漫然と勉強してしまうように思います。
具体的な目標得点を定めた合格前の3~4年は、その点数さえ超えれば合格できるとイメージができました。また、科目毎の勉強をするときも何点取ればよいのか理解できていますので、どこまで勉強すればよいのかがわかり気持ちがブレることがなくなりました。
目標得点を設定するにあたって
目標得点を設定するにあたっては、最悪この点数だけは必ず取るという最低目標得点を定めるのがよいと思います。
合格レベルに近づくにつれ、多くの問題について自信を持って解答できるようになります。とは言え、どこまでレベルが上がったとしても、本試験では、最後、肢が絞り切れず2択に追い込まれる問題が必ず出てきます。長年、受験指導をされている予備校の講師ですら、ほぼ毎年、肢が絞り切れない問題があるといいますから、一般の受験生であればなおさらです。そうすると、合格レベルの受験生でも、本試験では、肢が絞り切れない問題は必ず2、3問は出てきますので、そのときの状態次第で得点は2、3問上下します。ですので、最低目標得点(最悪、下振れしたとしても取れる点数)を決め、さらにその点数を超えることを目標にするのがよいと思います。
私の場合
以下の記述は、いわゆる択一逃切り作戦を前提としたものです。
私は、記述式が最後まで苦手でした。本試験や模試でも枠ズレばかりしてしまい、点数が安定しませんでした(10回も受験しているのに我ながら情けないです。)。そうすると、記述式の点数が読めません。そこで、点数が読める択一式で確実に逃切り点を取り、記述式は基準点さえ超えればよいという作戦を取っていました。
(「枠ズレ」、「逃切り点」については、記事「働きながら司法書士試験合格」https://sihousyosihirukawa.com/64/をご覧いただければと思います。)
私の目標得点です。
★午前択一:目標得点 35問中最低30問(できれば32問)
許容失点
●憲法〔3問〕刑法〔3問〕中あわせて、1問まで
●民法〔20問〕中、2問まで
●会社法・商法〔9問〕中、2問まで
午前択一は、35問を2時間で解きます。普通に勉強していれば解答時間が足りなくなることはありません。また、近年は、推論問題はほぼ出題されなくなりました。つまり、午前択一は、正確な基礎知識(といっても膨大な量ですが)をしっかり頭に入れることさえできれば、年にもよりますが、最低30問正解することは十分可能です。
★午後択一:目標得点 35問中最低28問(できれば30問)
許容失点
●民事訴訟法〔5問〕民事執行法〔1問〕民事保全法〔1問〕司法書士法〔1問〕供託法〔3問〕(以上、いわゆる「午後マイナー科目〔計11問〕」)中、1問まで
●不動産登記法〔16問〕中、3問まで
●商業登記法〔8問〕中、3問まで
午後択一は、午前択一と違い時間が非常に厳しいです。解答時間は、午後択一と記述をあわせて3時間ですが、記述にはできれば2時間はかけたいですので、午後択一に使える時間は最大1時間となります。午後択一は、普通に解けば1時間半はかかります。それを1時間以内で解かなければならないわけですから、どこかで妥協しなければいけません(ひどい話だと思いますが、ここで文句を言っても仕方がありません。)。
私は、受験界でメジャーな解き方である2肢検討、3肢検討で解いていました(マイナー科目は除く。似たような解き方で軸足検討というのもあります。大体同じ意味です。)。私が採っていた2肢検討、3肢検討というのは、まず、確実に正解である肢を見つけ、選択肢の組み合わせから正解が導けたら、他の肢は見ずに次の問題に進むという方法です。見ない選択肢があるわけですから、正直、後ろ髪を引かれる思いです。
全肢検討を勧める講師もいらっしゃいますが、私は時間が足りず絶対に無理でした。
このように、全肢を検討する訳ではありませんので、解答の精度は下がります。ただ、救いなのは、経験的に言って、全肢検討した場合と比べても点数は下がって2問程度だということです。
以上より、時間制限が厳しいことを加味して、私は、午後択一の最低目標得点を午前択一より2問低い28問としていました。
この目標得点は、概ね一般化できると思います。ただ、私は当時裁判所書記官をしており民事訴訟法が得意だったため午後マイナー科目の許容失点を1問までとしていましたが、ここは許容失点を2(~3)問までとして、登記法で調整してもよいかもしれません。
ちなみに、合格レベルに近づくにつれ、何問正解するかという思考ではなく、全問正解することを前提に何問まで失点してよいかという思考に自然となっていきます。
本試験(令和4年度)では
午前択一は全体的に解きやすい問題でしたが、民法で2問、どうしても肢が絞り切れない問題がありました。それでも、その2問とも正確することができました。結果、32問正解でした。運よく2問上振れした形です。
午後択一も全体的に解きやすい問題で、31問正解でした。どちらかと言えば運よく上振れした感じです。また、民事訴訟法5問あるうちの2問が難問と言われる問題(訴訟告知、訴訟記録の閲覧等)で落とした受験生が多かったようですが、毎日実務にあたっている裁判所書記官としては実務的で簡単な問題でした。運がよかったと思います。
結果的に、択一は最低目標得点を上回ることができ、苦手な記述式も枠ズレすることなく、幸運にも合格することができました。
令和6年度以降について
上記の択一逃切り作戦は、令和5年度までにあてはまる話です。
令和6年度からは、記述式の配点が倍になりますので状況は変わります。
この記事を書いているのは、令和6年度筆記試験の合格発表前の9月です。ですので、確実なことは申し上げられませんが、択一逃切り点は35点とまでは言わないまでもその近くまで上がることが予想されます(※)。そのため、これまでのような択一逃切り作戦は現実的でなくなる可能性が高いです。
それでも、択一と記述のバランスを考えた上で、目標得点を設定することは、現実的な合格を見据えて学習を進めていくために重要なことと考えます。
※ 令和6年10月3日、令和6年度司法書士試験の筆記試験の合格発表がありました。これによると、択一逃切り点は、私が予想した35問近くではなく、30~32問となりました。結果を分析して本記事に追記する予定でしたが、長くなってしまいましたので別記事としました。こちらを参照していただけると幸いです。記述式の配点変更による影響 | 司法書士ひるかわ法務事務所


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